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【芸能の継承と地域づくり6】瀬底島の豊年祭

2020/3/30公開

沖縄の魅力のひとつとして、エイサーや大綱曳きに代表されるように、地域ごとに固有の芸能やお祭りが豊かであることがあげられます。後継者不足に悩む声が各方面から聞こえてくる昨今ですが、ただかっこいい、美しいというだけではなく、その営みが人と人とをつなげる役割を担い、地域を支えているからこそ、今もなお受け継がれているのではないでしょうか。本シリーズでは、芸能の継承を通して地域づくりを行なっている地域の方にお話を伺い、その取り組みをご紹介していきます。

今回は、沖縄本島の北部と瀬底大橋でつながる瀬底島の豊年祭をご紹介。瀬底島育ちの小島亜喜乃さんと湧川彩さんにお話を伺いました。

国の重要文化財 瀬底土帝君(せそことていくん)の前で

幼少期から瀬底島の豊年祭に携わってきた小島さんと湧川さんは、本部町渡久地にある「舞い一心(まいいっしん)比嘉あゆみ琉舞研究所」で琉球舞踊を習う仲間でもあります。現在は、仕事と子育てをしながら琉球舞踊の稽古を重ね、豊年祭などの行事で伝統文化の保存継承に取り組んでいます。

—瀬底島の豊年祭について教えてください

瀬底島の豊年祭は旧歴の8月9・11・13・15日の4日間で行われます。初日の9日は「スクミ」と言って、リハーサルの日です。スクミとは「演舞がどこまでできているのか、演舞の底を見てみよう」という意味であると区長さんがおっしゃっていました。

その後、3日間は棒術や獅子舞、組踊や琉球舞踊が演じられます。中でも「瓦屋・述懐(からやー・しゅっけー)」という伝統の女踊りは瀬底島でしか見られないでしょう。いつ頃から踊られていたかは不明ですが、1959年に村内で踊られた記録があり、一時期は後継者不足により途絶えていましたが、1983年に復活しました。私たちも首里城や他の舞台で踊ったことはありますが、豊年祭では必ず瀬底に生まれ育った男性が踊るという伝統があります。

また、豊年祭は「4年マール」といって4年に1回、綱引きと交互に行います。豊年祭の4年後は綱引きで、そのまた4年後に豊年祭が行われるんです。豊年祭と綱引きはそれぞれ8年に1回ですが、交互に開催するために4年マールと呼びます。

豊年祭で演じられる「松竹梅鶴亀」

豊年祭で「花風」を踊る小嶋さん

—後継者不足で舞踊が途絶えていたというお話がありましたが、今でも後継者が不足していると感じることもあるのでしょうか

豊年祭に対する想いというのは、昔と今で違うのかもしれません。おじいおばあ達は「村の行事は一大行事だから」と言ってみんなが村の行事を第一優先にしていたと言いますが、私たち若い世代では社会全体の考え方が変わってきていると思います。また、最近は島の人口が減ってきているものの、移住者の方は増えているため、島の行事に知識がない方や特に強い想いがない方も増えていると感じます。
実際に、行事のときは自分たちの同年代である20代は参加する人数が少なく、40代以上の先輩が多いです。
しかし、40年ほど前は後継者不足で人がまったく集まらないこともあったと区長さんが言っていましたが、最近では首里城祭や国立劇場おきなわ、テレビ番組などで「瀬底島の伝統芸能をやってほしい」と依頼があり、島を出て演舞をする機会が増えました。そのため、私たち世代も徐々に芸能に携わる人が増えています。
また、私たちの村の伝統芸能だけではなく、他の地域のものを見ると驚きや感動があります。他の芸能を見て、改めて島の踊りを大切にしたいとも思えるものですね。

—地域芸能の保存継承のために、工夫されている取り組みはありますか?

瀬底では幼稚園生が出演する演目、小学生が出演する演目などと、年齢によって演目が決まっているので、自然と幼い頃から豊年祭と関わることになります。私たちも小さい時から島の芸能に触れていたからこそ、大人になっても伝統は大切という想いが強くあるんだと思います。

また、島では公民館の主催でグラウンドゴルフやバーベーキュー、夏祭りもあります。島に住んでいる人が積極的に移住者の方々とコミュニケーションをとるので、移住してきてすぐにみんなと仲良くなれるのも瀬底の良いところ。そういったことが、豊年祭への移住者の方々の協力に繋がっているんだろうな、と感じます。

また、豊年祭などの村の行事のときは、職場や学校に実行委員会が依頼文を出してくれるんです。この依頼文があることで仕事の休みも取りやすいので、とても心強いです。

豊年祭で「加那ヨー天川(カナヨーアマカー)」を踊る小嶋さんと湧川さん

—豊年祭に参加していてよかった!と思う瞬間はどのような時ですか?

豊年祭という一つの目標に向かってみんなで頑張れるのは、やっぱり楽しいです。学校や仕事など、それぞれの生活ではお互いに協力して何かをやるってことはあまり多くないですしね。

また、豊年祭は最後に舞台でみんなが円になって打ち上げをするんです。カチャーシーをしたり歌を歌ったりするのですが、それがもう、すごく楽しいです!頑張って準備をして、舞台を作り上げた時の達成感は大きいし、子どもたちやおじいおばあの笑顔を見るのは嬉しいし、それをみんなで共有できるのは幸せなことだと感じます。


仕事や子育てに、舞踊研究所のお稽古、島の行事と多忙な生活に「大変と感じることもありますか?」とお聞きすると二つ返事で「ないかな〜」と答える湧川さんと小島さん。「大変だったことよりも楽しいことの方が多いから」とおっしゃるおふたりからは、島を大切にする想いが溢れていました。そんな瀬底島の次の豊年祭は2021年の旧暦8月11・13・15日※の3日間!これを見逃すと7年後まで見ることはできないので、要チェックです!(※2021年の旧暦8月11・13・15日は新暦9月17・19・21日です)

<取材協力>
舞い一心比嘉あゆみ琉舞研究所
小島亜喜乃さん・湧川彩さん


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