Column

『マブニ・ピースプロジェクト沖縄2019』アートを通して、平和と鎮魂を考える

2019/5/28公開

沖縄から平和と鎮魂の思いを伝えるべく、県内外のアーティストたちによって毎年6月に開催されている「マブニ・ピースプロジェクト」。県内各所に展示会場が点在し、沖縄戦のあった過去、そして未来のことを考えながら、会場を巡って美術作品を鑑賞するアート・プロジェクトです。
今年の会期は6月10日〜30日。「平和への共鳴〜その先へ〜」をテーマに開催されます。プロジェクトに込められた思いや今後の展望について、実行委員会のみなさまにお話を伺いました。

−今年で5年目を迎える「マブニ・ピースプロジェクト」。本プロジェクトを開催したきっかけについて教えてください。

マブニ・ピースプロジェクトは、第二次世界大戦・沖縄戦終結70年の節目にあたる2015年に、有志が立ち上げたアート・プロジェクトです。私たちは、平和を希求してやまない沖縄のこころを、何ものにも代えがたい貴重な文化資源だと考えています。平和と鎮魂の思いを、世代を超えて継承するために、沖縄ではすでにさまざまな分野で各種の団体が取り組みを重ねていますが、アーティスト・美術家たちのアプローチは活発だったとは言えません。私たちは、平和を求める沖縄のこころという文化資源をアートと結合し、世界に向けて発信する行動力を高めていくことを意識して、このプロジェクトを継続してきました。

マブニ・ピースプロジェクト開催の様子 平和祈念資料館

—今年のテーマ「平和への共鳴〜その先へ〜」に込められている思いついて、教えてください。

「平和と鎮魂」を不変のテーマとしている本プロジェクトですが、毎年サブテーマを定めています。昨年、2018年のテーマは「平和への灯台―The lighthouse of Peace」でした。どことなく世界中に戦争の危機が立ちこめているようなこの時代に、闇夜を照らす平和の灯台としてのアートの可能性を追求しようとしたのです。すると、まるでこの光に導かれるように、韓国・済州島の美術家たちが私たちとの交流を申し入れてくださいました。済州島は沖縄と響き合うような歴史や文化を持っています。マブニ・ピースプロジェクトの美術家たちは、済州島の美術家たちとの交流にたいへん刺激を受けました。そこから「平和への共鳴」というキーワードが生まれ、さらに一歩進んでいこうという思いで「その先へ」という言葉がつながりました。

済州島にて

—今年度のチラシに「国際芸術祭へのステップアップを見据えたチャレンジ」とありますが、今後の展望について教えてください。

私たちは「沖縄を平和のアートの要石:キーストーンに」という思いで、活動を続けてきました。悲惨な戦争とその後の軍事支配という歴史経験を持つ沖縄は、芸術家たちに対して、より深く本質的な問いを投げかけます。韓国や台湾の美術家たちとの交流を通して、マブニ・ピースプロジェクトは平和美術の確立において世界的に重要な役割を担うことができると考えるようになり、現在、韓国や台湾のみなさんと共同で「東アジア平和芸術プロジェクト」を構想中です。平和と鎮魂をテーマとする国際芸術祭、たとえば「Mabuni Peace トリエンナーレ」を開催し、世界中の人々に平和美術:Peace Artと言えば「沖縄」だと認知されるようになれば、まさに沖縄のソフト・パワーの発信、そして新たなインバウンドの呼び込みになります。
しかし、現状では本プロジェクトは手弁当のボランティアベースで運営しているため、国際的に規模を拡充するためには公的支援が不可欠です。例えば、沖縄県芸術文化祭が「オキナワ・ピース・アート・トリエンナーレ」といった形に展開してもよいのではないでしょうか。

開催の様子 ひめゆりピースホール

キャンプタルガニー


今後の展開にも注目をし続けたい、マブニ・ピースプロジェクト。今年は、平和祈念資料館企画展示室・平和祈念公園の芝広場・糸満市庁舎・ひめゆりピースホール・白梅之塔・南風原文化センター・キャンプタルガニーアーティスティックファーム・Galleryラファイエットと、糸満・那覇・南風原・コザの広範囲で開催されます。また、7月下旬には名護市大浦湾サイトで大浦湾ピースアートプロジェクトが開催されます。参加アーティストは、過去最大の40組。うち10名は韓国・台湾・香港からの参加です。全て無料で鑑賞できるので、何日かに分けてじっくりと鑑賞してはいかがでしょうか。

開催の様子 糸満市庁舎

平和祈念公園

また、ギャラリートークやシンポジウムなどのイベントも開催されます。詳細は下記をご覧ください。

 

<取材協力>
すでぃる-Regenerationプロジェクト実行委員会
公式Facebook:https://www.facebook.com/sudhiruproject/

2019年6月10日~6月30日


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