『沖縄の観光と文化振興』目島憲弘氏インタビュー
2019/3/12公開
一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー 事務局長 目島憲弘氏インタビュー
目島憲弘(めじま・のりひろ)
2001年 財団法人沖縄観光コンベンションビューロー入職。
OCVB東京事務所長 兼 大阪事務所長、企画・広報室長、国内プロモーション課長、誘客事業部長等を歴任し、2018年に事務局長に就任。2018年より(公財)沖縄県文化振興会理事を務めている。
沖縄観光は、世界的なリゾート地であるハワイに並びつつあります
-沖縄県庁には「文化観光スポーツ部」があり、観光と文化が一つの部署に入っていますが、観光も文化も中身は幅広く、両者の関係は案外に整理されていない印象です。今日は沖縄県文化振興会から沖縄観光コンベンションビューローへのインタビューということで、沖縄で観光と文化がいかに協力しあえるのか、考える材料をいただければ幸いです。まずは沖縄における観光の現状について教えていただけますでしょうか?
沖縄の観光は非常に好調とマスコミ等にはよく出ていますが、2018年の1年間で984万人のお客さまをお迎えしました。これはハワイの入域観光客数にほぼ近づきつつあり、ハワイの方がまだ1万数千人多かったのですが、沖縄観光は、世界的なリゾート地であるハワイに対して、入域観光客数では並びつつあります。
1972年に沖縄は本土復帰しましたが、その頃の入域観光客数は約56万人でした。それを考えると、1,000万人近くまで伸びているというのは非常に大きいと感じています。
沖縄国際海洋博覧会(海洋博)が1975年に開催され、「海洋博需要」といって観光客が一気に増えたのですが、それまでの沖縄観光は「墓参団」、つまりお墓参りをするとか、ひめゆりの塔の周辺を行くとか、そういう団体旅行が中心だったんですね。しかし、海洋博を契機に「海洋リゾート」という言葉が出てきて、沖縄の観光は一気に伸び始めた。
もちろん航空会社の沖縄キャンペーンなどがありました。あとは1990年代にはアクターズスクールを中心にした沖縄ブームがあったり、2002年には「沖縄美ら海水族館」がオープンしたりと、いろいろな歴史的変遷の中で伸びてきています。

沖縄観光コンベンションビューロー発行「沖縄観光のあゆみ」より
一方で沖縄観光はこれまで好調といっても、外的要因には意外と弱く、2001年のテロ事件とか、SARS、MERS、金融危機などに左右されながら上下しましたが、今は安定的に推移してきているのではないかと感じます。
将来的には、2030年までには1,742万人まで伸びるだろうと予想しています。内訳でいえば、そのうち半分は外国人のお客様になるだろうというのが、OCVB(沖縄観光コンベンションビューロー)が立てている予測です。10年くらい前までは海外のお客さまは10%もいなかったのですが、それが一気に半分くらいにまでなってしまいます。
このあたりに沖縄観光の大きな伸びしろを感じますし、2020年3月に那覇空港の第2滑走路が完成すると、日本国内だけではなく海外からのお客さまもさらに増えてくるでしょう。東京オリンピックのちょうど半年前に供用開始をするので、事前の合宿等にご利用いただく可能性も十分にあると思います。
沖縄観光コンベンションビューローは県の外郭団体で、観光に対する「誘致」と「受入態勢の整備」が2本柱としてあります。誘致は国内のプロモーションや海外のプロモーションですね。もちろん誘致するだけでなく、今やリピーター率が80%を超えている中で満足して帰っていただけるよう、受入態勢の整備が必要であることから、受入事業部というところが受入態勢の整備を図っているところです。
県外事務所もありますし、収益事業として沖縄コンベンションセンター、ブセナ海中公園、旧海軍司令部壕事業所、空手会館管理事務所と、四つの事業所を運営しています。職員は非常勤職員を含めて約250名で、そのうち県からの出向職員は5名です。
OCVBもそうですが、文化振興会もクリエイティブに仕事をしていかないといけないはずなので、いい意味での自由度みたいなところを担保しながら仕事をしていくというのが、本来のお互いの姿なのではないかと思います。
外から期待されているのは、それぞれの組織「らしさ」や、ニーズに合わせた発信の仕方、マッチングの仕方だと思うので、私たちプロパー職員や現場で働いている職員が、それを感じ取りながらやっていくべきだと思いますね。
お客さまが関わりやすいものがフックになって、伝統や本物に移っていく
-統計によると、沖縄を訪れる国内観光客の8割がリピーターである一方、文化体験やイベント参加はほとんどありません。今、沖縄観光で文化はどのような位置づけにあるのでしょうか?端的に言えば、観光客の方たちは文化を求めているのでしょうか?
体験していない以前に知らないということがあると思います。沖縄の観光はもともと団体旅行からスタートしています。それが修学旅行に変わり、今では個人旅行に変わってきています。修学旅行で沖縄に来て、それから2回目、3回目と来ていることからリピーター率が上がっていると考えられます。その中での動き方は、今までは旅行会社がつくったバスツアーだったものが、今では個人旅行に変わってきています。
では、個人旅行の方が求めているものは何かというと、沖縄から情報発信しているものに対して、「こういうものがあるんだね。じゃあ、見てみようか」というところなんですね。ですから、このあたりは情報発信不足があるのではないかという感じはします。
もう少し今のお客さまのニーズに合った情報の出し方みたいなものが必要ですし、ヨーロッパの方など、文化を好む海外のお客さまも増えてきているので、そこにどう魅力を出していけるのか。沖縄の文化的な魅力をもっと明確に伝えるべきだろうと思います。
-アンケート調査によれば、今の観光客の方たちが沖縄に求めていることは、「自然」や「ゆっくり過ごす時間」などのようですが、情報発信次第では、沖縄に期待することのバランスは変わってくるだろうということでしょうか?
そうだろうと思います。これまでの沖縄旅行は、青い空、青い海、白い砂浜がキラーコンテンツでした。それによって今、飛行機の搭乗率が平均すると約80%なんですね。100の席に対して、もうすでに80人の予約は埋まっているということです。ですから、残りの20%を上げていくには何をするか、ということです。
「Day0(デイゼロ)※+1日・前乗り」や、飛行機の「順便」という言葉を聞いたことがありますか?例えば羽田を9時くらいに出て、沖縄に12時くらいに着く。これを「順便」といって、旅行しやすい時間帯です。でも、午後3時の飛行機に乗って沖縄に5時以降に着くとなると、時間のロスが生まれます。これを「逆便」というのですが、こういう逆便の活用が重要だと思っています。逆便は旅行代金も割安になるので、夕方に着いて楽しめるコンテンツを明確に出していく。新しい沖縄の楽しみ方、文化や夜のエンターテインメントのようなコンテンツを出すと、今後の沖縄観光の伸びしろとマッチしていくと思います。

空港の午後発便を利用して想定していた日数に“+0.5日”を提案する「Day0」(イメージ)
-観光情報の発信強化はお金がかかるというイメージがあります。費用対効果として、文化の情報発信を変えようとするインセンティブが沖縄に生まれるでしょうか?
難しい質問ですね。ただ、沖縄県には毎日約10万人の観光客が常にいるわけですから、そこはマーケットと捉えていく必要があるかと思います。例えばJTBさんの「杜の賑い」などは人が集まりますよね。あれはもちろん旅行会社の力で集客をしているのと同時に、沖縄県民にも認識され、情報発信として大きな力を持っていると思います。
旅行会社の視点でいえば、旅行のお客さまを沖縄に送るためには、1年間、常設のステージがあって、常に何かをやっているというところは欲しいと思います。
文化振興会の場合は、もちろん文化を守り、継承し、新しいものをつくるという大きな役割があると思いますが、私たち観光の分野からすると、お客さまが見やすい、関わりやすいものを求めていて、これをフックにして、もっと伝統のものだったり本物だったり、次のステップに移ってくるのではないかという感じがします。
創作エイサーを見て、「楽しいものだね」と思って沖縄に来て、本物の旧盆で見るようなエイサーにつながっていく仕組みやストーリーの作り方を工夫していくと、もっと広がっていくのではないかと思います。
-文化に関わっている側は、最初から本物に触れてほしいと思いがちですが、その視野もある意味では短期的で、ハードルが高すぎるのかもしれませんね。
例えば県外のある学校が東京に修学旅行に行って、歌舞伎を見せたらしいのですが、生徒の反応が弱かった。そうすると、それは何の時間だったのかということになるので、導入の部分があって、そこから本物へとつながってくるということは、文化を見せていく上では大事なのではないかという感じがします。
また、文化も幅広いので、複数の文化に橋をかけるときは、琉球料理や泡盛が大切になってくるのではないかと思います。食べること、飲むことによって、複数の文化がつながり、エンターテインメントや歓迎の文化が伝わることが重要ではないかと思います。
先ほど「Day0(デイゼロ)」の話をしましたが、沖縄観光の手法に合ったコンテンツを振興会の方から紹介・発信してもらって、それを一緒にお客さまにPRしていく仕組みがあるといいのではないかと感じます。観光と文化の可能性は無限にあるようなものなので、文化と観光と物産は常に一緒でいいと思います。すべてが表裏一体だと思います。
沖縄の魅力とは何なのか、観光の仕事の魅力とは何なのか
-文化は観光の方に楽しんでいただくものであると同時に、県民のものでもあります。文化が観光に適応しすぎると、県民の皆さまからご批判を受けることもあるかと思います。OCVBの経営理念には「観光を通した県民の幸せづくりに貢献します」とありますが、観光客向けの文化コンテンツが必要という部分と、それが県民の幸せづくりにつながるかどうかという部分のバランスは、どのようにお考えでしょうか?
今の沖縄観光は1日10万人という話をしましたが、県民の方が普段から行っている食堂に観光客がいっぱいいて、いつの間にか入れなくなっているという声が聞かれます。県民の皆さんに観光を理解してもらうことは非常に必要だと思っていて、これも受入事業部が担っています。
「ウェルカムんちゅ」(国内外から訪れる観光客を「うとぅいむち(おもてなし)」の心で温かく迎え入れる沖縄県民)の取り組みもやっていますし、観光学習教材本を作って県内の小学校4年生全員に配布しています

平成18年度より作成している沖縄県観光学習教材
それぞれの学校で活用方法はいろいろあると思いますが、小さい頃から観光とは何なのか、観光と経済がどうつながっているのか、自分の周り、学校の周り、家の周りに観光のコンテンツになり得るものがあるか。これを学級新聞のようなかたちでまとめてもらったりしています。
そうした学習の中にも伝統工芸品があったり、文化の話も入っていますが、一方で、私たちが小さい頃は組踊の「執心鐘入」などの公演が割合にたくさんありました。今でもあるとは思うのですが、伝統芸能の鑑賞と観光をつなげた総合学習みたいなことを有意義に活用していけば、もっと県民の理解が深まるのではないかと考えています。
子どもたちが家に帰って、両親にこういうものを見たよ、自分もやってみたい、そして観光客の前で踊ってみたいということにもつながるはずですし、そういうものが増えていけば、観光業界に就職し、観光客も増え、観光収入も増えて、税収も増えて、最終的には県民に還元していく。そういう流れを意識しています。そのために沖縄の魅力とは何なのか、観光の仕事の魅力とは何なのかを知ってもらう必要があります。
-賃金の上昇というかたちで県民に還元されていくには、やはり多少の時間がかかるということなのでしょうか。
それはあると思います。観光収入は年々上がっていますが、中国からの「爆買い」が最近は「体験」に変わっている。その時点で、観光消費額は少し少なくなっている。今度は付加価値として何かをつけていく仕組みや、リピーター率を上げていくことが観光の分野では必要なことなのではないかと思っています。
-文化に携わっている者としては、かつての農連市場や今の公設市場には大きな価値があり、観光客にとっても魅力的ではないかと思います。しかしそうした歴史的遺産も観光や文化とは別の考えで取り壊されてしまうことがあります。都市政策が細分化されている中で、全体に関わる観光や文化はどのように振る舞えばよいのでしょうか?
沖縄は、那覇空港から那覇市内のあいだに意外と大きな建物が多くて、初めて来るお客さまからは「けっこう都会ですね」という言葉が聞かれるのですが、一方で1時間くらい南北に移動すると昔ながらの家々もあります。
まちづくりという点では那覇市内は進みすぎているのかもしれないですが、そこは二極化というか、那覇市は那覇市の楽しみ方を提案しつつ、中部に行ってみたり北部に行ってみたりすると、昔ながらの家があり、人がいて、交流ができる仕組みがある。これはそれぞれ観光協会もありますから、地域がつくるコンテンツが沖縄の新しい楽しみ方、魅力の出し方になるのではないかと思います。
最近注目されているのは沖縄の離島です。下地島空港が3月にはオープンしますから、宮古島に二つの空港ができるということは大きな話題です。
沖縄は41市町村ありますが、観光協会は34あります。41のうち34はもう観光協会ができているということは、地域に密着して、地域のことをよく理解して、地域のコンテンツを知っている。観光協会が連携すれば、個々の点が一つの線になることもあり得ます。地域観光協会が一同に集まる会議を毎年3回くらい開催して、沖縄県やOCVBの施策を共有しています。
今は「DMO(Destination Management Organization)」という言葉もありますが、地域の稼ぐ力を引き出すことですね。沖縄の場合はアートとか、一つのことに特化したお客さまだけが来ているわけではないのですが、すみ分けや動線をきっちりつくっていけば、可能性は広がっていくのではないかと感じます。
生活から生み出されてきた文化を、県民ももっと意識しなければいけない
-県の観光要覧を拝見したところ、観光客の満足度は少し上下していますね。平成29年度は少し下がっていますが、これは何が要因と考えられるのでしょうか?
観光客の増加に伴い、二次交通や労働力不足に関する課題なども発生しており、沖縄県のキャパシティに対して観光客の数が多くなりすぎていて、サービスが追いついていないという可能性が、もしかしたらあるのではないかと思います。そういう小さなストレスの積み重ねが影響しているかもしれません。
-観光の方に文化を見ていただくと同時に、沖縄の文化を沖縄県民があらためて認識して、県民に向けて沖縄の文化の大切さを再認識できるような場をつくっていくことも文化振興会の役割であり、それが観光にもつながっていくのかもしれませんね。
私たち県民からしても、文化に触れる時間や機会がだいぶ減りましたよね。すごく減ったような気がします。豊年祭やアブシバレー(畦払い、豊作を祈願する害虫払い行事)が、小さい頃は私が住んでいるところでも普通にありましたし、お盆もオジーがふつうに三線を弾いていましたが、そんなことも少なくなってしまいましたね。学校で組踊の「執心鐘入」を見て、鬼が出て来たことをすごく覚えています。それも変わってしまったようですね。
-観光と文化というテーマでは、観光客の方に見ていただくコンテンツを文化がつくらなければいけないのはもちろんですが、沖縄らしい生活や文化の価値がすたれてしまうと、観光客の方が来ても、昔のほうがもっといろいろなよさがあったねということになりかねませんね。観光のためにも、県民に一層の文化理解が必要かもしれません。
文化は生活から生み出されてきているものもあるので、観光客の皆さんに沖縄の旧正月のようなものを「沖縄の生活ってこういうことがあるんだよ」と示すことで、文化の話につなげられると面白いのではないか、興味も湧いてくるのではないかと思います。
-その土地の生活に触れるような観光、例えば台湾で古い町並みを楽しむとか、地元のよさに外から来て触れることも観光の一部になっているのではないかと思います。沖縄はそういう部分がなくなっていくと、観光にもマイナスになりかねませんね。
それこそ私たち県民がもっと意識しないといけないところではないかと、今またさらに思いました。高校の郷土芸能部なども、あらためて大切なものなのではないかと思います。
現場にいる賛助会員の皆さまに参画していただき、課題を抽出していく
-沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の賛助会員制度のことをご紹介いただけますでしょうか?
賛助会員制度は、沖縄観光コンベンションビューローが実施している事業に賛同して、支援していただくための会員組織です。今、670会員で、1口5万円をいただいています。もちろん企業によっては10口とか大口の会員もいらっしゃいますが、これだけの会員の皆さまにOCVBを支えていただいています。
賛助会員の皆さまに、お役立ていただくために「OCVB News」を毎月発行しています。文化振興会は同じ県の外郭団体なので分かると思うのですが、事業を可視化することで、その業界の関連事業社様にも団体の活動に対して理解をいただけるようになります。そこから発想したのが、「見える化」の一環として「OCVB News」を作って、OCVBがやろうとしている事業や地域の皆さんがやろうとしている事業、そして観光の現状をお伝えして、OCVBの組織を知ってもらうということでした。
また、賛助会員説明会を毎年5月頃に開催して、1年間のOCVBの事業方針や事業内容を説明する場を設けています。こうしたことを繰り返すことで、最近では何をやっているか分からないというご意見は少しずつ減ってきたのではないかという感じがします。
賛助会員の皆さまには常に意見を求めながら進めています。現場にいるのは賛助会員の皆さまなので、そこから課題を抽出したり、解決していくために沖縄県や国に提言する仕組みをつくらせていただいているところです。
-賛助会員制度は、金額や気持ちだけの問題ではなく、観光や文化といった広いテーマに現場が参加するための仕組みということですね。
現場からの課題を集約するためには、「ワーキング委員会」を開いていて、沖縄観光に対する課題を五つか六つぐらい掲げて、「これに参加をしたい人は一緒に議論をしていきましょう」ということもさせていただいています。それぞれの委員会に参加している賛助会員は7名~8名です。もともとは七つか八つの委員会がありましたが、今年は五つぐらいになって、徐々に減っています。それだけ課題が減ってきたということですね。課題が解決されたら、その委員会はなくなります。参加して課題を吐き出していただき、対話できることが重要です。
プロモーション系の誘致をするためのワーキング委員会は今、減っていると思います。やはり受け入れ態勢のところがずっと残っています。交通、環境、人材不足の話などです。
各ワーキング委員会で意見をまとめたのち、各委員会の委員長に集まっていただいて、3月末に県知事に対して一緒に提言をします。委員長も集まった人の中から選ぶので、OCVBだけでやるのではなく、皆さんに責任を共有していただくということかと思います。言うだけではなくて、言ったことに対してお互いで行動していきましょうという点に、ワーキング委員会の意義があると考えています。
![]() 沖縄観光振興に関する提言書手交式(2018年4月13日) |
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今年は食文化のワーキングが新たに追加されました。琉球料理と泡盛のワーキング委員会も。ユネスコの無形文化遺産や日本遺産に登録されるまでは、引き続き必要ではないかと思っています。
-1年間で何回の委員会が開催されるのでしょうか?
ワーキング委員会は3回くらいです。年1回、総会のような集まりがあって、取りまとめて報告、という流れになります。
そういう場があると、変わってきますね。遮断された、ただ会費だけを払っているという感覚よりも、ちゃんと参画しているんだという意識にもなるのではと思います。
賛助会員制度の広報は特にやっていないのですが、口コミやメリットが伝わる中で、参加してみたいという会員、企業は増えてきています。
今は毎月2000部の「OCVB News」を発行しているほか、賛助会員さんにはメールニュースで公募情報等を配信しています。公募情報はWEBサイトで広く公開しているのですが、公開されている情報であっても、必要でも不必要でも、個別に届くと参画できる機会になる可能性もありますね。
-最後に、沖縄県や沖縄県文化振興会に対して、観光と文化という点から期待することを率直にお話いただけますでしょうか?
沖縄県の文化も、将来的にはヨーロッパのように、高くても見てもらえるようなものにしていくべきだと思います。そのあたりは今後の可能性かと思います。オペラやブロードウェイは何万円も払って、世界中から集まるわけじゃないですか。そこまでの伸びしろは、沖縄の文化にも可能性としてあると思います。
沖縄観光コンベンションビューローは観光を誘致する団体ですし、文化振興会は文化を振興していく組織だと思います。あとは手法や工夫の面でさらにお互いが連携できるような仕組みづくりをやっていけば、お互いに組織としての意味もあるでしょうし、今後の可能性はますます広がっていくのではないかと思います。
まだまだ共有できていないところや連携できていないところがあると思いますので、今回のこういったインタビューを機会に、お互いの組織を理解して、お互いの強みを生かしながら、弱みはまた補いながら、沖縄の文化と観光を推進していければいいと思います。
文化や平和学習などは、あまりにも伝統を大事にすると、意外とバリアを張ってしまいがちになってくるので、そこをもう少し広げながら、ですね。今まで続いてきたものの意味を守ることと、新しいかたちで発信していくこと、大きく分けると二つのパターンがあるのですが、観光客の皆さんは実は後者の方、新しい情報伝達のあり方とか、新しい文化や平和のあり方を求める人が増えてきているのも事実なんですね。
そこから実際の現場を見ていただくとか、その先へとつなげていく仕組みというのは、文化に関しても大切ではないかと思います。
2019年2月7日収録
<取材協力>
一般財団法人沖縄観光コンベンションビューロー
公式ウェブサイト https://www.ocvb.or.jp/