5.武道としての空手
沖縄発祥の空手は、精神と肉体の鍛錬を目的とした日本の武道の一つです。沖縄空手は、古くは門外不出の武術として士族を中心に伝承されてきました。1879年、沖縄は琉球王国から日本の1県になりました。そのような社会の転換期を経て、空手は一般住民へと普及されていきますが、その精神性が失われることはなく、今に至っています。沖縄空手の先駆者たちが残した数々の言葉の中に、沖縄空手の真髄を見ることができます。例えば、1922年、空手を最初に日本に紹介した、首里手の大家・船越義珍の言葉に「空手に先手なし」があります。また、剛柔流空手の創始者である宮城長順は「人に打たれず、人打たず、ことなきを基とするなり」の言葉を残しています。このような先達の言葉からも、空手が争いを避け、和を尊ぶ、極めて精神性の高い武道であることがわかります。
このような高い理念に基づいた空手の技法や型、精神性を学ぶことを目的に、世界中から空手愛好家が沖縄を訪れています。
競技会は流派ごとの型を競うという初のスタイルで行われ、約1100名の参加者が日ごろの鍛錬の成果を披露しました。