漆芸
14〜15世紀にかけて、高度な漆芸技術が中国より伝わったとされ、16世紀頃に貝摺奉行所が設置されて以降は、琉球王国の保護を受けて生産に力が注がれます。夜光貝の真珠層を研磨して加飾する「螺鈿」、琉球漆器特有の「堆錦」等、多様な技法を駆使して朝貢品や献上品を製作していくなかで、飛躍的な発展を遂げます。沖縄は、年平均気温23℃、湿度74%と、漆の乾燥に必要な条件に適した高温多湿地域なので、年中良い塗りを行うことができます。沖縄の漆器が放つ「朱」の鮮やかさは大きな特徴で、沖縄の灼熱の太陽光を映したかのようです。
漆芸も沖縄戦で壊滅的な状況となりましたが、1950年代のベトナム戦争景気で土産品として人気を博します。しかしながら、1980年代には低迷。これに職人の高齢化も相まって、高度な技術と品質が危ぶまれる状態に落ち込んでしまいます。近年は、県内の老舗漆器店が新しいデザインで作品を発表したり、県内外で技術を習得した若手作家の活躍もあって、新しい沖縄の漆芸が展開されつつあります。