ガラス
沖縄のガラス工芸は明治時代、長崎や大阪から来た職人によって伝えられ、ランプのホヤや投薬瓶、蝿取り器等の日用品をつくったのがはじまりです。昭和初期に入っても、那覇の工房を中心に日用品の製作が行われていましたが、沖縄のガラス工芸も沖縄戦で壊滅的な状況に陥りました。大きな転換期は1950年代。皮肉にも、沖縄のガラス工芸の危機を救ったのは、米駐留軍から出るコーラーやウイスキー等の廃瓶でした。廃瓶を溶かしてつくった鮮やかなガラス製品は、沖縄観光の土産品として次第に注目を集めていき、琉球ガラスの基礎となっていきました。
琉球ガラスは、南国沖縄をイメージした鮮やかな色彩と、ぽってりとしたフォルムが特徴。また、ガラスに浮かぶ気泡は、本来であれば不良品として扱われるところを、沖縄の職人たちは、暖かな雰囲気を生み出すとしてあえて取り入れ、技法として確立しました。近年は、琉球ガラスの独特な雰囲気に魅せられ、ガラス作家として活躍する若者も増加。洗練されたデザインも登場しており、美術品としての評価も高まりつつあります。