染め

紅型
紅型は、琉球王国時代の士族の礼服として、また、冊封使を歓待する際に上演された御冠船踊の衣装として着用されていました。紅型は、豊かな色彩で模様を描く「紅型」、藍の濃淡で表現する「藍型」の型紙を用いる技法と、生地に直接描く「筒引き」の二つに大別することができます。
紅型の特徴の一つは、多様な模様です。琉球には生息していない動植物が同一画面に描かれているデザインもあり、当時の琉球の人々の外界への憧れとおおらかな気質をみることができます。二つ目の特徴は、鮮やかな色彩です。自生する豊富な植物染料と、交易でもたらされた顔料が惜しげもなく使われており、琉球王国の栄華を象徴しています。
製作は主に、王家に仕えた沢岻家、知念家、城間家の「紅型三宗家」が担っていましたが、1879年の廃藩置県以後、急速に衰退。これに拍車をかけるように、沖縄戦で祖先伝来の型紙や道具を全て失いました。戦後、職人たちは、アメリカ軍から出るメリケン粉袋を生地にして紅型を染め上げるなど、情熱と工夫で復興に尽力。大きな役割を果たします。
紅型は、伝統芸能の組踊、琉球舞踊を支えるものです。実演家と紅型の作り手は、相互の伝統文化を守り継承しようと懸命に努めています。