陶芸
沖縄には荒焼きと上焼き、主に二つの焼物があります。荒焼きは、南蛮焼とも称されるように、シャムや南中国の影響を受けたと考えられています。上焼きは王府の指導の下、17世紀に沖縄本島の窯を那覇市壺屋に統合。以降、中国、朝鮮、日本の技術を取り入れ、沖縄最大の窯場として今日の壺屋焼の礎となっていきます。
沖縄陶器の特徴的な造形で知られる「抱瓶」は、士族階級が携帯用の酒器として愛用したものです。また「逗子甕」は、洗骨後の遺骨を納める骨壷で、優れた装飾が施された魅力的な焼物である一方、沖縄の人々の死生観を垣間見ることができる貴重な民族的資料でもあります。さらに八重山には、謎に満ちたパナリ焼が存在し、その素朴で豊かな造形美は、沖縄陶芸の深淵を感じさせます。
壺屋は沖縄戦で甚大な被害を受けましたが、食器の生産をいち早く再開し賑わいを取り戻していきます。沖縄初の人間国宝となった金城次郎(1912〜2004年)の作品が日本本土で高く評価されると、壺屋焼の魅力は広く認知され、今日のやちむんブームに続いていきます。